痛いところに施術をしない理由
今わたしが学んでいる鍼灸の古典には、「症状のある部位に直接鍼や灸をしない」方法があります。
アーユルヴェーダでも、私はこの方法を必要に応じて取り入れます。
その類の鍼を練習する時、
患者役の方に「気になる箇所を直接施術してもらえないのか…そうじゃないとよくならない」ということを仰ってもらいました。
鍼灸の世界に入って3年目なので、直接刺さないのもスッと受け入れてしまうのですが、知らない方からすれば、意味不明ですよね。
気づかせてくださって助かりました。
鍼灸には『病、右にあれば左に刺す』という考えがあります。文章間違ってるかもですが、、。ちなみに、巨刺(こし)という方法です。
巨刺、なぜ巨大の巨なのか。
と、漢字辞典をみてみました。巨という漢字は、反語の意を表わすらしいです。本来の意味とは反対の表現をするとき、例えば、「これを嘆かずにいられるか。(いや、嘆く。)」というもの。
右の肩が痛い本来の症状を、反対の左の肩で治療して、本来の症状を治療してみようというやり方です。
しかし肩こりや腰痛でもなんでも、結構根深いものです。簡単に治らない。症状のある方はよくわかると思います。
過去の病気や怪我、ストレスなどによって、深いところに根本原因が出来る。いわゆる虚、力が弱るような形で出来る。それがあることによって、なんらかの症状が表面的に出てくる。あくまでも目に見えたり感じる症状は表層のものである。
その根本原因は、東洋医学ならではの方法で見つけることができます。
治療も、その原因に合わせて、そこを補っていくポイントに鍼や灸をします。表層の症状はあくまでも根本原因がよくなってるかどうかの指標です。
根本の力を補っていくと表層にでる症状もでにくくなります。
そういうわけで、気になる箇所を直接施術しないやり方があるわけです。
症状が長引いている方にはとても良い方法なので、私はこの考え方はお客さまにとっても有効だと思い、取り入れています。
その辺をよくわかりやすくお伝えしていかないといけない。
じゃなきゃいつまでも鍼灸は怪しいと思われてしまうでしょうね。
インフォームド・コンセントが大切です。